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執筆者の写真弁護士 平井 優一

事実婚と法律婚の違いとは?

事実婚とは?法律婚とは?


 事実婚とは,実質的には夫婦関係にあるといえるものの,婚姻届を提出していないため,戸籍上夫婦とはなっていない男女関係のことをいいます。「内縁」とも言います。

 これに対し,法律婚とは,婚姻届を提出して戸籍上夫婦となっている男女関係のことをいいます。


事実婚と法律婚の共通点


 婚姻届を提出していない事実婚であるからといって,すべてが法律婚と扱いが異なるわけではありません。

 事実婚も,実質的には夫婦関係と同じですから,法律婚の夫婦と同様に扱うことができるものもあります。

 たとえば,同居協力扶助義務(民法752条),婚姻費用分担義務(民法760条),日常家事債務の連帯責任(民法761条)などは,実質的な夫婦関係が成立している以上,法律婚と同様に負うべき責任と考えられています。

 また,事実婚を解消する場合には,戸籍上夫婦となっている男女が離婚をする場合と同様に,財産分与(民法768条)が認められると考えられています。

 このほかにも,居住用建物の賃借権の承継が認められており(借地借家法36条),居住用建物の賃借人である内縁の夫(妻)が死亡し,相続人がいない場合には,同居していた内縁の妻(夫)は,賃借権を承継することができます。


事実婚と法律婚の違い


 他方,事実婚の場合,内縁の夫(妻)が死亡しても,法定相続人になることはできません。財産を承継させたい場合には,贈与や遺言などによる必要があります。

 また,法律婚の夫婦の間に生まれた子は,嫡出子として扱われ,夫婦共同親権(民法818条3項)に服しますが,内縁の夫婦間に生まれた子は非嫡出子として扱われ,母親の単独親権に服します。


まとめ


 このほかにも,事実婚と法律婚には,様々な共通点や相違点があります。

 男女共同参画局のウェブサイトに,事実婚と法律婚の異同を整理した資料(参考1)がありました。参考になりますので,ご覧になってみてはいかがでしょうか。


参考(書籍・雑誌,ウェブサイト等)


  1. 男女共同参画局 人生100年時代の結婚と家族に関する研究会(第7回)資料6(https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/7th/pdf/6.pdf 2022年1月4日最終閲覧)


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